Q.タイヤメーカー創業の背景は?
宮島:
コロナ禍で既存ビジネスの売上が下がる中、オンラインで商品を販売する必要性に迫られていました。
既に柴田自動車様ではラジコンをヤフオクや自社ECで販売していたのですが、大きく拡げていたわけではなく、本格的にEC事業を始めようというタイミングで、日本で100年ぶりのタイヤメーカーを立ち上げようという挑戦が始まりました。
自社ECで販売していた時には、販売サイトで良く使われる”タグ”という顧客行動をトラッキングするための設定などもなく、顧客の行動を分析して最適なアプローチをかけるということができていませんでした。
タイヤ販売も同じく売るための仕組みやシステムが整っていない状態で進んでいたので事業を加速するために弊社が入ってEC構築、仕組み化を行っていきました。
Q.まずは何から始めたのか?
宮島:
まずは自社ECサイトをshopifyに移行し、それだけでも売り上げが上がりました。
顧客行動を分析することで導線を整え、追加アプローチもかけることができるようになり、shopifyでの自社ECサイト構築の翌月には月商が1.5倍となりました。
●shopify(ショッピファイ)
世界の175カ国、100万店舗以上のストアが利用している世界最大級のECプラットフォーム。shopifyの台頭で企業がアマゾンや楽天といった大手ECプラットフォームから離脱する動きが出始め、ルイ・ヴィトン、ディズニーやナイキ、ワークマンなどの企業が次々に「アマゾンには出店しない」と宣言。代わりにshopifyで自社のECサイト構築を行っている
Q.実務面ではどんな問題点があったのか?
宮島:
まず、EC事業を拡大していくにあたって問題となるのが受注・顧客管理をどうするか、在庫管理をどうするかという問題です。
シバタイヤさんの場合も、shopifyを使っていなかった時は受注管理が煩雑で、メールやライン対応などの導線がまとまっていませんでした。それにより顧客への対応漏れなどのトラブルが発生しやすい環境で、CSのスタッフ数や時間コストが必要になっていたんです。
在庫管理に関しても、倉庫の在庫とショップ上の在庫がズレて空売りが発生するなどのトラブルを防ぐための対策が必要です。
ですのでOMS(受注管理ソフト)とWMS(在庫管理ソフト)を導入してこれらを効率的に管理できるような仕組みを整えました。
これらの導入・運用には専門知識がないと使うことが出来ませんので、それらの仕組み構築やサポートは全て弊社で引き受けました。
Q.売上が順調に伸びて行くと新たに発生する問題は?
宮島:
EC事業は、事業を伸ばしていくと人件費と倉庫費がコストとして増えていきます。
これらを全て自社で抱えていると、売れているときは良いんですけど、例えばコロナショックの時みたいに売れなくなった時にコストがひっ迫するリスクがありますよね。
そのようなリスクにも備えておきたいというのが経営者の本音だと思います。
その対策として、ある一定ラインまでは自社で負担し、それ以上はアウトソーシングで補填できる仕組みを弊社で提供しています。
シバタイヤさんの場合、商品の保管場所は自社倉庫がありますが、それ以上の生産数になった場合は弊社と提携する倉庫を提供したり、CSについても自社内でリソースが足りない場合はアウトソーシングできるように環境を整えてあるので安心して事業を伸ばしていくことができています。
Q.マーケティング施策は?
宮島:
シバタイヤさんのマーケティングは当初、SNS・ブログ・ドリフトレースで仕掛けていました。でも、すぐに売上のアッパーが来てしまった。
そこで、より攻めたWEBマーケティング施策を導入することにしました。
SNS広告やグーグル広告を使って認知を拡大し、shopifyのクーポン施策やSNSでのキャンペーン施策などとうまく掛け合わせることで効果を増大させることに成功しました。
シバタイヤさんの場合はSNS広告、WEB広告のスタートが遅かったために機会損失していました。
いくらの広告費を使って1つ注文が入ればいくら利益が出るのか、損益分岐点が計算できておらず、他社の類似商品の情報もないためCPAの平均も分からなかったということもあって、数値を根拠にした判断が出来ずにいたんです。
これらの課題を解決し、弊社でマーケティング施策をサポートするようになってからは、僅か1年の間に月商1500万⇒1.8億までに売上が伸びました。
Q.資金繰りを悪化させない在庫管理のコツとは?
宮島:
物販の場合、僕は在庫の回転率を重視しています。
売れない在庫を保管していると倉庫料がかかり続けることになります。
売れない商品をそのまま保管していても何も生み出さないどころかコストの分マイナスになってしまうので、まずは売り切って現金化するということを強く勧めています。
回転率を良くするほど仕入れ単価が安くなる可能性があるし、倉庫までの運送費も安くなるため1個当たりの粗利が増えます。
商品を保管しているだけでマイナスになる。
この視点が抜けてしまっているEC業者さんがとても多いです。
在庫過剰で倒産するリスクを避けるためにも、まずは回転率重視で安売りしてでも現金化することです。
ただし、安売りをしてブランド棄損を起こしてしまう事だけは注意が必要です。
この問題に対応するために、弊社ではMacrozというマーケットプレイスアプリを開発していて、過剰在庫の商品を「アウトレット品」として出すことでブランド棄損させることなく在庫回転率をあげるという仕組みを整えています。
Q.なぜここまで伸びたのか?
宮島:
元々、僕は財務コンサルタント事業を行う別の会社を経営していて、柴田自動車さんとは社外CFOとしての契約もいただいています。
そこでまずは社会保険料や送料などの売上につながらない経費を削減する施策をいくつか行いました。財務状況を根本から見直し、改善することで会社の利益と現金を増やし、それをマーケティング施策に充てていく方法をとっています。
こうすることで初期段階でリスクなく事業を伸ばすための投資ができるようになります。
物販の場合、無在庫販売の実現が難しいので必ず仕入れが先に発生します。
すると、売上が上がるけど資金繰りが悪くなるケースも多いです。
このフェーズに来た時に、弊社の場合は補助金を活用した資金調達や銀行交渉も得意なのでそれらも代行しました。弊社の資金調達については昨年実績で言うと5社で13億円の資金調達に成功しています。
財務戦略で資金繰りの悪化を防ぎながら、資金調達とマーケティング施策でアクセルを踏んでいく、そのような複合的な施策が打てたからこそ、これだけの短期間で大きなパフォーマンスが出せたのだと思います。
弊社のECPは、財務面でのサポートができるという点において他のEC・物流コンサルサービスと一線を画すところですね。